研究紹介

 技術科学の探求と応用、すなわち、スマートセンシングやフォトニクス情報デバイスなどエレクトロニクス革新技術の研究と先端的応用分野(ロボティクス、情報通信、ライフサイエンス、農業工学、環境、防災など)との融合研究を発展させることを目的とした研究拠点です。

 2019年4月から、これまでの2つの研究領域から5つの研究分野に拡充し研究組織とし、 新たな研究開発を行う異分野融合研究拠点となりました。

革新センシング技術創成分野

 これまでEIIRISで蓄積してきた世界的にも高く評価されているセンサ・MEMS製作技術とLSI設計製作技術をもとに様々なスマートセンサ・MEMSデバイスを実現してきました。この強みと国内の材料研究機関・応用研究機関と共同しながら画期的なセンサ・MEMSデバイスの提案と実証を進めていきます。また、産総研が提案する新たなコンセプトの半導体製作技術を、IoT社会に不可欠な世界的な成長産業であるセンサ・MEMS製作への展開を図る研究開発を遂行していきます。

 

 

 

農業用マルチモーダルセンサ

 植物体内の養分や水分量,各種イオンの分布などをモルチモーダル計測し可視化するセンシングデバイスとシステムの検討を行っています。これにより植物の生育を左右する情報を正確に把握する事が可能となり,生育メカニズムの解明や,スマート農業における収穫量の増大につながる事が期待されます。

機械学習型マルチモーダルセンシング

 検出特性が異なる複数のセンサを組み合わせて多項目を計測し,そのデータ解析に機械学習技術を利用してマルチモーダルセンシングを実現する,新しいセンシングアプローチに取り組んでいます。CMOS集積回路技術で作製した画像出力型センサとAI技術の融合により,複数イオンの同時計測,複数ガスの同時計測やにおいセンシングの実現について研究を進めており,農業や介護・医療,バイオサイエンスの分野への展開を検討しています。

革新センシング技術展開分野(ヒューマンブレイン及びロボティクス)

 EIIRISで開発されたシリコンプローブやイオンイメージセンサ等を活用して脳情報の読み出しと制御に関わる研究を進めるとともに、神経科学のニーズに基づいた革新的な神経デバイス開発を目指します。また、ヒトの脳波を中心とした生体信号を計測・制御することにより、ヒトの認知処理に関わる神経ネットワークの解明の研究を進めながら、得られた知見をブレインマシンインターフェース (BMI) やニューロマーケティングなどへ応用していきます。

ウェアラブル「Team Flow」リアルタイムモニタリングおよび変調システム

 宇宙環境下での作業は、長時間の隔離、監禁、過酷な環境下となり、認知機能、行動機能の低下を招く可能性があります。また、この低下はクルーのメンタルヘルスにも影響を与え、例えばうつ病を発症するなど、チームワークの低下を招き、クルーのパフォーマンスやミッションの成功に悪影響を及ぼす可能性があります。NASAの人間研究プログラム(HRP)では、「人間要因と行動パフォーマンス(Human Factors and Behavioral Performance: HFBP)」というプログラムのなかで、「チーム」と「BMed」という2つのカテゴリーに分けて、これらのリスクを特定しています。本プロジェクトでは、宇宙ミッション中のチームの社会的共感を伴う最適なパフォーマンスを客観的に評価する手法を提供し、これらのリスクに対応する手法の開発を目的としています。

3つのクリーチャから構成されるラポールトーク型のドライビングエージェント

 運転への気づきや安心感をドライバーに提供するような情報環境の実現を目的として、3つのクリーチャから構成される多人数会話の生成を特徴とするドライビングエージェントを構築しています。

先端農業工学分野

 EIIRISで開発されるセンサ・MEMSデバイスを活用した先端的農業生産技術を開発します。具体的には、植物工場などの環境制御型植物生産を対象として、植物生体情報に基づいた高度な栽培・労務管理を実現するための植物診断技術(クロロフィル蛍光、匂い成分、光合成・蒸散の計測)の開発と社会実装を行っていきます。また、太陽光植物工場技術で世界をリードするオランダの産業界・学術界とも緊密に連携し、植物診断技術の世界展開を目指します。

先端環境センシング分野

 FIB(Focused Ion Beam)などEIIRISの高性能設備を用いて低ノイズ超伝導ジョセフソン接合を作製する技術を開発し、高感度SQUID(Superconducting Quantum Interference Device) 磁気センサに適用、非破壊検査や超低磁場MRI技術に展開していきます。また、縮小投影露光装置等を用いた高精細パターニングにより、マイクロ波力学インダクタンス検出器(MKID)などのテラヘルツ光センサの均一化や高感度化を進めていきます。

 

 

 

決して見逃さない極微小金属異物検査システム

 超伝導現象を利用したSQUID (Superconducting QUantum Interference Device) 磁気センサは地磁気の10億分の1の微小磁場検出が可能です。高温超伝導薄膜を用いたSQUIDは液体窒素(-196℃)で冷却するだけで動作します。Liイオン電池などの製造工程で数10μm程度の微小金属検出が課題となっていますが、試作機では、φ18μmの金属異物を搬送速度100m/分、製品高さ数mmまで検出可能です。液体中での金属異物検出も可能です。

超伝導センサーを用いたパッシブ型テラヘルツ光ナノスコピー

 テラヘルツ光は、電波資源の短波長化と光波資源の長波長化へ向けた技術的進展の狭間に残された未踏の光領域です。本研究では、高分子や生体材料などのソフトマテリアルの基礎物性分野に新たな分析手法を提案し確立すべく、テラヘルツ帯で動作する近接場顕微鏡技術(テラヘルツ光ナノスコピー)の創出を目指しています。具体的には、鋭く尖った金属探針を試料表面に近づけ、その局所から自然放出されたテラヘルツ光をフーリエ変換分光器で変調し、高感度の超伝導センサー(MKID、右図)アレイで検出するシステムを構築しています。この顕微分光イメージングシステムが実現すると、様々な機能性高分子や生体材料に固有の吸収スペクトル(指紋スペクトル)の起源解明や構造制御、新機能発現といった物性研究の新たな未来を切り拓くことが可能になると期待されます。

先端生命科学分野

 生命のシステム的理解を目指して、生物間相互作用、生体行動、神経活動、遺伝子発現に関わる計測と制御実験を行う。EIIRISでのセンサ開発との融合研究を通じて、広く社会に応用される革新的なデバイス・ツール開発を目指します。以上を行うための無脊椎動物、げっ歯類、霊長類の実験区域を維持管理し、共同利用研究を促進していきます。

 

昆虫-細菌間融合共生系の基盤解析

 昆虫には、細菌を自身の細胞内に取り込み、両者不可分な融合生命体となっているものがいます。私達は、害虫のみを狙い撃つ、環境に優しい防除法の開発や、創薬シード化合物など有用物質の獲得、生物界面の制御による生命工学の革新を目指して、共生系の基盤解析を進めています。

神経電極開発と脳神経科学の融合研究

 感覚認知行動に関わる神経基盤の理解を目指して、EIIRIS-3「ライフサイエンスラボラトリー」にて動物実験(マウス、サル)を行っています。
脳計測に必要な新しい神経電極、豊橋プローブの開発および実証実験、プロトコールの作成を行っています。