夜の方が目が良くなる ~簡単・スピーディーな視力検査装置で分かった コントラスト感度の日内変動~

 先端生命科学分野 鯉田孝和准教授と東京工業高等専門学校の研究チームは、人間の視力(コントラスト感度)が時刻とともに改善していくこ
とを明らかにしました。一般に日常作業の効率は朝に良く、時間の経過とともに悪くなります。これは疲労が原因です。一方で、眼の網膜には体内時計による効果で夜になるにつれて感度が良くなる細胞が存在することが知られていました。しかし、これまで人の視覚性能が時刻によって改善する効果を明瞭に示した研究はありませんでした。おそらく過去の研究では、計測に時間がかかるなどの問題により、実験を繰り返すことで疲労の効果が高まっていたためと考えられます。そこで本研究では、タッチパネルを用いた簡便なコントラスト感度測定プログラムを開発することで、これまで数十分かかっていた計測の時間を3分に短縮することに成功し、さらにこのシステムを応用することで、コントラスト感
度が時刻とともに改善していくことを明らかにしました。これは視覚系には、疲労に打ち勝って性能を維持する機能があることを示しています。本研究は、視力を維持するために必要なリハビリ法の開発や、網膜の機能を維持するための創薬開発につながることが期待されます。

書誌情報
著者:吉川真由、永井翠、鯉田孝和
標題:概日リズムによる輝度コントラスト感度特性の変化
掲載誌:生体医工学 60(6):158-163, 2022


DOI: https://doi.org/10.11239/jsmbe.60.158

 


 

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