機械工学専攻 博士後期課程2年の夏原大悟(府大高専卒)、柴田隆行VBL長(機械工学系教授)らと城西大学 北村雅史 准教授らの研究チームは、マイクロ流体チップテクノロジーを応用し、食物アレルギー物質3品目(小麦、そば、落花生)の遺伝子検査を1回の作業工程で同時に行えるマイクロ流路チップを開発しました。本研究では、マイクロ流体制御用の革新的なバルブ構造を考案(Air plug‑in valveと命名)し、マイクロ流路チップ内へサンプル導入を行う際の流量の上限を従来比14倍に改善し、さらに、分注可能な反応容器の個数の制約条件を解除することに成功しました。本提案技術は、食物アレルギー物資に限らず、ヒト感染症や農作物ウイルス等の遺伝子検査にも適用できる汎用性の高い技術です。
書誌情報:
Daigo Natsuhara, Sae Misawa, Ryogo Saito, Koki Shirai, Shunya Okamoto, Moeto Nagai, Masashi Kitamura, and Takayuki Shibata, A microfluidic diagnostic device with air plug-in valves for the simultaneous genetic detection of various food allergens, Sci. Rep., 12 (2022) 12852.
DOI: https://doi.org/10.1038/s41598-022-16945-2
図 マルチプレックス遺伝子検査デバイスの外観写真(左図:シリコーン樹脂製のマイクロ流路チップ)と液体の自律的な分注操作(中央図:導入口から液体を導入するだけで10個の反応容器内への充填が完了)。植物性食物アレルギー物質3品目の多項目同時検査結果(右図:標的遺伝子に対応する反応容器の色が紫色から水色に変化して陽性と判定)