マイクロ流路チップで微小流体を自在に操り「新型コロナ・インフルエンザ同時迅速診断」を実現

 機械工学専攻 博士後期課程1年の夏原大悟(大阪府立大学工業高等専門学校卒業)、柴田隆行VBL長(機械工学系教授)らと東京慈恵会医科大学 嘉糠洋陸 教授らの研究チームは、マイクロ流体チップテクノロジーを応用し、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスを同時に診断できるマイクロ流路チップを開発しました。マイクロスケールの微小な流体を極めて単純な流路形状で制御する理論モデルを構築し、マイクロ流路チップの最適設計手法を確立しました。さらに、新型コロナウイルスを含む4種類の感染症ウイルスの遺伝子診断実験を行い、30分以内での多項目同時迅速診断が可能であることを実証しました。本診断デバイスは、ヒト感染症に限らず、様々な分野(農業・畜産・水産業、食品産業、健康・医療など)での遺伝子診断に活用できる汎用性の高い技術です。

書誌情報:
Daigo Natsuhara, Ryogo Saito, Hiroka Aonuma, Tatsuya Sakurai, Shunya Okamoto, Moeto Nagai, Hirotaka Kanuka, and Takayuki Shibata, A method of sequential liquid dispensing for the multiplexed genetic diagnosis of viral infections in a microfluidic device, Lab Chip, 21, 24 (2021) 4779-4790.

DOI: https://doi.org/10.1039/D1LC00829C

 

 マルチプレックス遺伝子診断デバイスの外観写真(左図:シリコーン樹脂製のマイクロ流路チップ)と
    感染症ウイルスの多項目迅速診断結果(右図:標的ウイルスに対応する反応容器の色が紫色から水色に変化して陽性と判定)


 
 簡易LED照明装置とスマートフォンアプリでの診断画面(スマートフォンの撮影画像から反応容器2番目の新型コロナウイルスを陽性と
 自動判定)[スマホアプリはOptTech社(愛知県豊橋市:本学卒業生が起業)との共同開発]

 

関連情報:
豊橋技術科学大学 令和3(2021)年度 第6回定例記者会見(2021年12月17日)
 「マイクロ流路チップで微小流体を自在に操り 新型コロナ・インフルエンザ同時迅速診断を実現」
  https://www.tut.ac.jp/docs/211217kisyakaiken.pdf (関連資料pp.9-14)

EurekAlert!(英語版:2022年1月4日掲載)
 Development of rapid and simultaneous diagnosis of COVID-19/influenza diseases by manipulating microfluidic flow with a microfluidic chip
  https://www.eurekalert.org/news-releases/939293

研究発表  2022.02.03