What's new

  • 2025/04/06: 研究室に新たにB4髙野さん、B4八木さん、M1桑原さん、M1大和田さんが参加しました。
  • 2025/03/06: M2牛濱さんが、本学にて2024年度学生表彰されました。 記事
  • 2025/01/22: D1辻さん筆頭のVISION掲載論文が、日本視覚学会 鵜飼論文賞を受賞しました! 記事
  • 2024/12/11: D3及川さんの論文が日本感性工学学会 英文雑誌IJAEに掲載されました。 サル視覚電気生理実験に用いる計測システムに関する研究で、TDT製ハードウェアとPC1台で行動からPSTH表示までをリアルタイムに動作します。 link
  • 2024/12/04: D3及川さんが博士学位を取得しました。link
  • 2024/09/16: M2牛濱さんが、日本視覚学会夏季大会にてベストプレゼンテーション賞を受賞しました! 記事
  • 2024/04/20: D1辻さんの論文が日本視覚学会誌VISIONに掲載されました。 色同化錯視が起きやすい輝度コントラストが色相に応じて異なることが、眼光学的要因で説明可能あることを心理実験とシミュレーションから明らかにしました。 link
  • 2024/04/06: 研究室に新たにB4渡辺さん、B4林さん、M1川越さん、M1清水さんが参加しました。
  • 2024/02/10: M2辻さんが、修士論文発表会で最優秀発表賞を受賞しました!
  • 2023/12/10: 及川さんの論文がeNeuroに掲載されました。電気生理実験でタングステン電極の位置マーキングを簡単高精細に行える技術です。 プレスリリース
  • 2023/04/06: 研究室に新たにB4小澤さん、B4長谷川さん、M1鳥居さんが参加しました。
  • 2022/12/10: 吉川さんの論文が生体医工学に掲載されました。輝度コントラスト感度は朝よりも夕方の方が良くなることを明らかにしました。 プレスリリース
  • 2022/04/06: 研究室に新たにB4牛濱さん、B4西島さんが参加しました。
  • 2022/02/17: D3の大原君の論文がFrontiers in Psychologyに掲載されました。透明物体の形知覚の研究です。
  • 2022/01/24: D3の兼松さんの論文がFrontiers in Psychologyに掲載されました。色誘導錯視の研究です。
  • 2021/11/27: ギカダイのラジオでトークしました。「虹の色にピンクは無い」 YouTube
  • 2021/04/09: 研究室に新たにM1木村くん、B4渡部くん、B4辻さんが参加しました。
  • 2021/03/23: 北君らによる豊橋プローブの論文がPNASに掲載されました。 DOI / EurekAleart!
  • 2021/02/25: M2の及川君がリンナイ奨学財団奨学生に採択されました。
  • 2021/02/16: M2の及川君が2020年度修士論文審査会で最優秀発表章を受賞しました。おめでとう!!
  • 2020/12/26: D2の大原君の論文がi-Perceptionに掲載されました。DOI / プレスリリース / EurekAleart!
  • 2020/12/26: D2の兼松さんの論文がScientific reportsに掲載されました。 DOI / プレスリリース / 関連動画 / EurekAleart!
  • 2020/12/20: D2大原君による照明環境の球面調和関数による解析法の解説記事を掲載しました。
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ごあいさつ

光と色の視覚神経科学研究室へようこそ

鯉田孝和

「視覚研究はなぜ必要?」という質問に学会の歴代会長が答えるという企画が日本視覚学会であった(link)。 刺激が面白いからやっているというピュアな意見から、より良い映像表現につながるという工学的な貢献などが示されていた。これに神経科学的な視点で付け加えるなら、視覚機能の理解を通じて診断やリハビリ、人工視覚開発に役立つ、あたりだろうか。

ところで、このような質問が発せられた背景には視覚科学の分野が成熟してきてわれわれは一体何をしているのだという自己批判があるのだと思う。一昔前であれば、脳や視覚システムの優れた特性を知れば、コンピューターには到底マネのできない脳のアルゴリズムを作り出せるのだ、というのが頻出表現だったと思うのだけど、深層学習に始まるAIブームによってそれは達成されてしまった。人間によって正解が導けるような課題なら、ほとんど機械学習で実現可能になったからだ。 もちろん、学習の速さやエネルギー効率など生体の脳の方が優れていそうな点はまだまだあるとはいえ、既に社会で役に立っているのだからそのまま進化を見届けるだけでもいいでしょという時代である。例えるなら空を飛びたくて鳥の羽ばたきを研究していたら、固定翼が発明されて推力はジェットエンジンになってしまったようなもので、目的を達成するのに必ずしも生体を模擬する必要はないのである。

改めて、上記の質問に私なりに思う今重要な答えは、「視環境を整えるため」だろうか。新しい映像表現や臨床応用はコスト高で限られた人にしか必要とされないけれど、視環境を変えるのは介入しやすいし、結果として多くの人に影響を与えうる。例えば部屋の明かりを変えたり、ディスプレイをナイトモードにするなどだ。これらの特性は初期視覚の特性理解が重要になる。ブルーライト応答を担うメラノプシン/ipRGC、屋外で過ごすと近視になりにくいニューロプシン/Opn5、眼振や視野安定に寄与する運動方向選択性RGCである。これらの網膜での発見は明らかに革命的だと思う。

視覚研究が成熟しているとはいっても、それはメジャーな視覚神経系である錐体からのLGN-V1経路に特化した理解に過ぎないと思う。これらの経路は視神経の8割を占めているので重要さは言うまでもないのだけど、残りの2割の生理学的理解が急速に進んでいるのだから、知覚や行動にどのように影響するのかの心理研究は期待されていると思う。 生活を良くするための視環境は、日常体験からなんとなく知っていたかもしれないし、デザイナーが直感的に調整していたかもしれない。ただし、生理学と心理学の両面から根拠をもって提案することは影響力を持つし、評価指標や工学的規格を定めるには客観的なデータが必須となるだろう。

といったことを考えつつ初期視覚に重点を置いて研究を進めています。

過去のごあいさつ